「2026年問題」という言葉を最近耳にする機会が増えたのではないでしょうか。
世界中のWindowsやLinuxのパソコンに搭載されているセキュリティ機能「セキュアブート」の証明書が、2026年6月から10月にかけて一斉に有効期限切れとなることで、パソコンが起動しなくなるのではないか、と懸念されています。

この記事では、この「2026年セキュアブート問題」が具体的にどのような内容なのか、あなたのパソコンがこの問題の対象となるのか、そして現在どのような対策が講じられているのかを分かりやすく解説します。
さらに、ご自身のパソコンがすでに安全な状態にあるかを確認する具体的な手順もご紹介します。まずは落ち着いて、一緒にご自身のPCの状態を確認していきましょう。
セキュアブート問題とは? 2026年に何が起こるのか?
まず、「セキュアブート」とは、パソコンが起動する際に、不正なプログラム(マルウェア)がシステムに侵入しないよう監視する、いわば「門番」のような役割を果たすセキュリティ機能です。
この機能は、パソコンの電源を入れてからWindows(OS)が立ち上がるまでの間に、OSが本物であるかを「証明書」を使って確認します。この証明書が本物だと確認できれば、OSの起動を許可する仕組みです。
今回問題となっているのは、このセキュアブートが持つ「照合用 証明書」の有効期限が、2026年6月から10月の間に世界中で一斉に切れてしまうことです。証明書が切れてしまうと、セキュアブートはWindowsが本物かどうかの判断ができなくなり、パソコンの起動を拒否する可能性が生じるのです。
あなたのPCは大丈夫? 対象となるパソコン・ならないパソコン
「どうせ古いパソコンだけの話でしょう?」と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、実はそうとも言い切れません。
この問題の対象外となるのは、おおよそ10年以上前に製造され、そもそもセキュアブートが搭載されていない「化石のようなPC」か、逆に2024年以降に製造された「超最新PC」です。
つまり、2012年以降に製造されセキュアブートが有効になっているPC、特にWindows 10やWindows 11を搭載している「比較的新しいPC」のほとんどがこの問題の対象となります。今年買ったばかりのPCでも、数年型落ちのモデルであれば対象になるケースもあります。
これは、世界中の多くのWindowsユーザーにとって無関係ではない話であり、だからこそ今、これほどまでに話題になっているのです。
【まずは安心してください】「PCが起動しない」事態は避けられるでしょう
巷のネット記事では「多数のPCが起動しなくなる」といった過度な表現が見られることもありますが、私の見解では、実際に起動できなくなるパソコンが続出する事態にはならないと考えています。
被害規模としては、ごく稀に立ち上がらなくなるPCが報告される程度に留まるのではないでしょうか。
なぜなら、この問題への対応は、セキュアブートの証明書を発行・管理しているマイクロソフト社の責任であり、彼らは過去の同様の事例から学び、対策を進めているからです。万が一に備え、ご自身のPCの状態を確認しておくことが大切です。
セキュアブートの役割と証明書の仕組みを理解しよう
セキュアブートがパソコンのどこに存在しているかご存じでしょうか? 実はパソコンの「基板」と呼ばれる部分に、UEFI(以前はBIOSと呼ばれていました)というお家があり、その中にセキュアブートは住んでいます。
私たちがパソコンの電源を入れると、まず基板に電気が流れ、セキュアブートが起動します。次にWindows(OS)が起動しようとすると、セキュアブートは「君が偽物じゃないかチェックするから証明書を見せてよ」とWindowsに要求します。
Windowsが差し出した証明書と、セキュアブート自身が持つ「照合用 証明書」が一致すれば、Windowsは本物だと確認され、無事に起動を許可されるという流れです。この「照合用 証明書」の有効期限が、2026年に切れてしまうことが問題なのです。
なぜ「2026年問題」が騒がれるのか? Microsoftの経験と過去の事例
この証明書の有効期限切れに対して、マイクロソフト社は新しい証明書を発行し、各パソコンのセキュアブートを更新する必要があります。マイクロソフトが完璧な仕事をすれば、この問題は発生しません。
しかし、過去には大手企業が同様の証明書切り替えで失敗した事例がいくつかあります。例えば、2021年9月にはウェブサイト通信のSSL証明書、2020年にはAppleのMac、2018年にはGoogleのAndroidで証明書関連の障害が発生し、ウェブサイトにアクセスできない、一部アプリが使えないなどの大混乱が起こりました。
これらの企業は、もちろん安全対策を講じていましたが、それでも失敗を繰り返してきました。そして、今回のセキュアブートの証明書切り替えに関して、マイクロソフト社は過去に一度も経験がありません。現在の証明書は2011年製で、15年間一度も更新されていないため、初体験なのです。過去の事例とマイクロソフトの経験不足から、「もし万が一、何か問題が起こったら…」という懸念が広がっているのが現状です。
【今すぐ確認!】あなたのパソコンのセキュアブートの状態を確認する方法
まずは、ご自身のパソコンでセキュアブートが機能しているかを確認しましょう。手順書の内容は動画の概要欄に記載していますので、そちらも参考にしてください。
- タスクバーのWindowsマークを右クリックする。

- 「ファイル名を指定して実行」を選択します。
- 表示された入力欄に「msinfo32」と入力し、Enterキーを押します。

- 「システム情報」の画面が表示されたら、「セキュア ブートの状態」の項目を探します。

結果は以下の3つのいずれかになります。
- 「有効」と表示された場合:セキュアブートは機能しています。今回の「2026年問題」の関連性があります。
- 「無効」と表示された場合:セキュアブートは搭載されていますが、機能がOFFになっています。この問題の影響は受けませんが、セキュリティ上は無防備な状態です。BIOS設定から有効にすることをお勧めします。
- 「サポートされていません」と表示された場合:セキュアブート自体が搭載されていません。今回の問題の影響は受けませんが、OS起動前のマルウェアに対する防御がなく、非常に危険な状態です。買い替えを検討することをお勧めします。
セキュアブートが無効、またはサポートされていない状態だと、OSよりも早く侵入するブートキット型マルウェアに対して無防備になってしまいます。これにより、オンライン銀行やネットショッピングのID・パスワードが盗まれたり、PCがハッカーの攻撃拠点として不正利用されたりする可能性が高まります。この機能は必ず有効にしておきたいものです。
【さらに確認!】証明書の更新が完了しているか確認する方法
次に、セキュアブートの証明書がすでに更新されているかを確認します。こちらも手順書の内容は動画の概要欄に記載していますので、参考にしてください。
- タスクバーのWindowsマークを右クリックし、「ターミナル(管理者)」を選択します。(「ターミナル」ではないので注意してください。

- 「Windows PowerShell」の画面が表示されたら、
([System.Text.Encoding]::ASCII.GetString((Get-SecureBootUEFI kek).bytes) -match ‘Microsoft Corporation KEK 2K CA 2023’)
をコピーし、右クリックでPowerShellに貼り付けてEnterキーを押します。 - 結果は「True(真)」か「False(偽)」のいずれかで表示されます。
- 次に、
([System.Text.Encoding]::ASCII.GetString((Get-SecureBootUEFI db).bytes) -match ‘Windows UEFI CA 2023’)
を同様にコピーして貼り付け、Enterキーを押します。
結果は以下のいずれかになります。
- 両方とも「True」の場合:証明書の更新はすでに完了しています。心配はいりません。
- 片方が「True」で、もう片方が「False」の場合:更新作業が途中段階にあることを意味します。マイクロソフトは段階的に更新を進めていますので、心配はいりません。そのうち両方「True」に変わるでしょう。
- 両方とも「False」の場合:まだ更新が開始されていません。しかし、現時点では心配いりません。
もし「更新されていない」と出ても焦らないで!今後の流れと対処法
もし両方とも「False」と出ても、すぐに焦る必要はありません。マイクロソフトは、この更新作業を数年前から段階的にテスト配信しています。
特に2026年6月に近づくにつれて、更新がより多くのPCに配布されると予測されます。まずはWindows Updateで最新の状態に更新し、再起動後に再度上記の手順で確認してみてください。多くのPCで結果が変わる可能性があります。
もし6月以降も更新されない場合、それは非常に稀なケースかもしれません。セキュアブートが基板(UEFI/BIOS)の奥深くに存在し、その管理はPCメーカーが行っています。マイクロソフトは更新ファイルをメーカーに提供していますが、ごく稀にメーカー側がブロックしていたり、古すぎるPCでは対応できなかったりすることがあります。また、企業で使われているPCの場合、管理者が意図的にブロックしていることもあります。
万が一、そのような稀な状況に該当し、メーカーの公式サポートサイトからBIOSの更新プログラムを手動で適用する必要がある場合は、ご自身のPCのメーカーサイトをご確認ください。ただし、これらは非常に稀な話であり、そこまで心配する必要はありません。もし新しい証明書が受け取れなくても、古い証明書をそのまま使い続けられるような仕様になっています。
まとめ
「2026年問題」は、パソコンの起動に関わる重要なセキュリティ機能「セキュアブート」の証明書期限切れが原因で起こる可能性があります。
しかし、マイクロソフト社もこの問題を深刻に捉え、何年も前から対策を進めています。今回の記事でご紹介した手順で、ご自身のパソコンのセキュアブートの状態と、証明書の更新状況を確認することができました。
もし現時点で更新が完了していなくても、ほとんどの場合は自動的に更新が進むため、過度に心配する必要はありません。まずは落ち着いて、定期的にWindows Updateを行い、パソコンを最新の状態に保つことが大切です。万全な対策で、安心してパソコンを使い続けましょう。

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